「歩くたびに股関節がズキッとする」「脚の付け根が詰まる感じがする」「外側(横)が痛い」
この“歩行時の股関節痛”は、関節そのものの問題だけでなく、筋肉の硬さ・骨盤の傾き・歩き方の癖が重なって起きることが多いです。逆に言うと、原因を分解して整えていけば、改善の道筋が見えてきます。
この記事では、放置しない方がいいサイン、痛みが出やすい歩き方の癖、そして **「緩めた方がよい筋肉」+「鍛えるべき筋肉」**まで、荻窪きりん堂(接骨院/鍼灸接骨院)目線でまとめます。
まず知っておきたい:股関節は“歩く衝撃の要”
股関節は、上半身の体重を受けながら、歩くたびに「衝撃の吸収」「脚の振り出し」「地面を蹴る推進」をこなす関節です。
そのため、次のどれかが起きると痛みが出やすくなります。
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関節内での摩擦・炎症(軟骨や関節唇など)
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腱や滑液包の炎症(中殿筋腱・腸腰筋腱など)
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筋肉の過緊張で動きが悪い(股関節が伸びない/開かない)
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骨盤〜背骨〜足の連動が崩れ、股関節に負担が集中
つまり「股関節だけ」見ても原因が確定しないことが多い、というのがポイントです。
痛い場所でだいたい分かる:股関節痛の“ざっくり分類”
股関節痛は、痛む場所で疑う方向性が変わります。
① 脚の付け根(鼠径部)が痛い
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変形性股関節症(初期は“歩き始め”が痛い、進むと夜間痛も)
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関節唇損傷/FAI(詰まり感、引っかかり感)
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腸腰筋(股関節の前)の腱のトラブル
② 股関節の外側(横・出っ張り周辺)が痛い
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大転子部痛症候群(GTPS):外側がズキズキ、横向きで悪化しやすい
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中殿筋の使い過ぎ/弱さで、外側に負担が集中
③ お尻側が痛い(臀部〜太もも後ろ)
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梨状筋など深層筋の過緊張
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腰(神経)由来の関連痛
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骨盤のねじれ+股関節の伸展不足
※もちろん例外はありますが、セルフチェックの第一歩としては十分役立ちます。
放置厳禁:すぐ受診・検査を考えたいサイン
「ただの筋肉痛かな」で放置しない方がいいケースがあります。
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転倒や強い衝撃の後に激痛が出た
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体重をかけられない/歩けない
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股関節が変形して見える、脚の長さが急に違う感じがある
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発熱・悪寒・皮膚の色の変化・急な腫れ
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夜間痛が強い/安静でもズキズキ続く(変形性股関節症の進行でも見られます)
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しびれ・脱力が強く出てきた(腰由来の神経症状の可能性)
こういうときは、整形外科での画像検査も含めて早めに確認した方が安全です。
なぜ歩くと痛い?よくある原因を“負担のかかり方”で説明
歩行で痛い人に多いのは、ざっくり言うと次のどれかです。
A. 関節の“噛み合わせ”が悪く、詰まって痛い
股関節の可動域(特に伸びる・内に回る)が落ちると、歩行で関節前方にストレスが集中しやすいです。
結果、鼠径部の痛みや詰まり感につながります。
B. 外側の筋肉(中殿筋)に負担が集中して痛い
片脚で体重を支える瞬間(歩行の中盤)に、骨盤が落ちないよう支えるのが中殿筋。
ここが弱い/硬い/使い方が偏ると、外側の腱や滑液包が荒れて痛みやすくなります(GTPSなど)。
C. 股関節が伸びないせいで、腰や太もも前が代償して痛い
本来、歩くときは股関節が後ろに伸びます(伸展)。
これが出ないと、腰が反る・骨盤が前に倒れる・太もも前が張る、などの代償が起きて、股関節前〜周囲が痛みやすいです。
痛みを作る“歩き方の癖”あるある(当てはまるほど股関節がしんどい)
歩き方の癖は、股関節の負担を一気に増やします。よくあるのはこれ。
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歩幅が大きすぎる(オーバーストライド):前側が詰まりやすい
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つま先が外に開きすぎ:股関節前〜内側がねじれやすい
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骨盤が左右に落ちる(片脚で支えられていない):外側が痛くなりやすい
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上体が左右に大きく揺れる:股関節外側の負担が増える
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内股/ガニ股が強い:関節と腱の擦れが増えがち
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足部が潰れている(過回内):膝〜股関節が内にねじれ、鼠径部や外側が痛くなる
“歩き方”は、筋肉の硬さと弱さの結果でもあります。だから緩める+鍛える+歩き方の再学習がセットで必要です。
ここが大事:緩めた方がよい筋肉(股関節痛の人に多い硬さ)
「どこを緩めればいい?」に答えるなら、まずはこのあたりが優先です。※痛みが強いときは無理に伸ばさず、専門家に相談を。
1) 腸腰筋(大腰筋・腸骨筋)
硬いと股関節が後ろに伸びない→歩幅が崩れて前側が詰まりやすい。
ケア:動画に詳細なケアを方法を載せていますので参照下さい。
2) 大腿直筋(太もも前)
硬いと骨盤が前に倒れやすく、股関節前が詰まりやすい。
ケア:うつ伏せで片脚を曲げて太もも前を伸ばす(腰反り注意)
3) TFL(大腿筋膜張筋)〜腸脛靭帯ライン
外側が張りやすい人に多い。中殿筋の代わりに頑張りすぎて痛みの温床に。
ケア:フォームローラーで外もも〜骨盤横を“痛気持ちいい”程度に
4) 内転筋群(内もも)
硬いと股関節の動きが窮屈になり、歩行でねじれが増えます。
ケア:開脚ストレッチより、まずは軽い“左右重心移動”くらいでOK
5) 梨状筋など深層外旋筋(お尻の奥)
硬いとお尻側の痛み、坐骨神経っぽい違和感につながることも。
ケア:仰向けで足を組んでお尻を伸ばす(いわゆる“4の字”)
6) ハムストリングス(太もも裏)/腰方形筋
骨盤の動きが硬くなり、股関節の可動がさらに減ります。
ケア:太もも裏は軽め、腰は深呼吸+体側伸ばしでゆるめる
重要:緩めるだけだと、歩くたびに同じ癖でまた硬くなります。次の「鍛える」がセットです。
改善の本丸:股関節痛の人が鍛えるべき筋肉
1) 中殿筋(股関節の横)
骨盤を水平に保つ“歩行の要”。
おすすめ:横向き脚上げ/クラムシェル/チューブで横歩き(小さく)
2) 大殿筋(お尻の大きい筋肉)
股関節を後ろに伸ばして歩く推進力。
おすすめ:ブリッジ、ヒップヒンジ(お辞儀動作)
3) 体幹(腹横筋・多裂筋)
骨盤がブレない土台。
おすすめ:ドローイン、デッドバグ(腰反りしない範囲)
今日からできる「痛みを減らす歩き方」3ポイント
痛みがある時期は、まず“負担を下げる歩き方”に寄せます。
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歩幅を少し小さく(詰まりを減らす)
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テンポを少し上げる(ダラダラ歩きは負担が残る)
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みぞおちを軽く持ち上げ、骨盤をまっすぐ(反り腰・前傾を減らす)
外側が痛い人は、特に「片脚で支える瞬間」に骨盤が落ちていないか意識すると変化が出やすいです。
きりん堂鍼灸接骨院・整体院の考え方:股関節だけを見ない(歩行は“全身運動”)
当院では、股関節痛をみるときに
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股関節の可動域(伸展・内旋など)
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骨盤の傾き、腰の反り
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中殿筋の働き(片脚支持の安定)
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足首・足部の使い方(ねじれの入口)
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実際の歩き方(歩幅・つま先・重心移動)
をセットで評価します。
そのうえで、手技で動きを出すだけでなく、**「緩める場所」「鍛える場所」「歩き方」**を整理して再発しにくい形にしていきます。
まとめ:股関節痛は“癖×硬さ×弱さ”の掛け算で起きる
歩くと股関節が痛いときは、単なる疲労ではなく、体が「このままだと壊れるよ」と出しているサインのことがあります。特に、体重をかけられない痛み、強い夜間痛、発熱や腫れなどは早めに医療機関へ。
そして多くのケースでは、
**緩めた方がよい筋肉(腸腰筋・太もも前・TFL・内転筋・深層外旋筋)**を整えつつ、
中殿筋・大殿筋・体幹を鍛えて、歩幅と骨盤の安定を作る。
これが改善の王道です。
「どの筋肉を緩めればいいか分からない」「歩き方の癖が自分で判断できない」場合は、歩行チェックから一緒に整理できます。気になる方は早めに相談してください。



