今回はレントゲンではわからない腰痛の原因、椎間関節の痛みについて書いていきます。
背骨の後ろ側にあり、背骨どうしをつなぐ役割を果たす椎間関節。レントゲンではわからない腰痛の4割の原因を占める部位です。
椎間関節の解剖学と痛みの原因
関節は、骨と骨をつないで「関節包」に包まれていますが、その中には多数の神経があるため、ここが傷つくと即座に痛みがやってきます。
椎間板が傷つく原因は、老化により水分が失われ、クッション性能が落ちたことが引き金になっていますが、椎間関節は、椎間板がつぶれた二次被害によって負荷がまし、傷つくことが多いのです。
上のイラストを見るとわかりますが、背骨は椎間板と椎間関節によって支えられています。イラストを見るとわかるように椎間板が健康なら両者均等に背骨を支えられます。でも椎間板がつぶれると支える力も弱まり、椎間関節にかかる負担がどうしても大きくなってしまいます。
体の組織は、あまり頑丈ではありません。負担が大きくなれば、そのぶん関節が傷つき、そこに炎症がおこり痛みを引きおこすのです。
スポーツなどで大きく背中を反らすような動きを続けると、椎間関節に負担をかけて傷つけてしまうこともよくあります。しかし椎間関節の痛みの多くは、下のイラストのように椎間板がつぶれることで、背骨の前側が支えきれなくなった負担を、後ろ側にある椎間関節が尻ぬぐいすることでも、おこっているのです。
また、椎間板と違い椎間関節は生まれつき多数の神経が存在している箇所です。
関節包の中には、関節の位置や動きの速度、圧力や外からの刺激など様々なことを検知できるセンサーがあります。これにより目をつむっていても自分の体の位置を正確に把握でき、微妙なバランス調整ができるのです。
ただし神経があるということは、同時に物理的な刺激や炎症の刺激をとらえ、痛みの情報も出してしまうのです。
椎間関節の痛みはスーパースターの事故
椎間関節だけでなく、ひじやひざなどすべての関節には同じような機能があります。そいて多くの機能をそなえているぶん、関節には数多くの神経が密集しています。
関節は、いわば運動器のスーパースターです。
現実のスターのように多数の付き人がいるように、関節にも神経という名の多数の付き人がいて、彼らの動きを常に監視しているのです。
スーパースターのささいな事故がニュースで大々的に取り上げられるのと同様に、関節にも多数の神経があるため、わずかな刺激でも敏感にとらえます。
たとえば、皮膚なら「かゆみだ」と認識するような小さな刺激でも、関節では「痛みだ」と大げさに受け取りやすいのです。
スーパースター級に重要な役割を担っているとはいえ、椎間関節という単語自体初めて聞いたという方も多いと思いますが、慢性腰痛の4割は、ここから始まっています。また、炎症から痛みが始まる傾向があるため、やけどのようなジンジンとした長く続く痛みが出やすくなります。